(1会話の技術は、運転技術とよく似ています。)ボーッと運転をしていると、事故を起こしかねません。たとえば、数人で楽しく盛り上がっているときに、いきなり入ってきて、自分の話を始める人がいます。あれは、高速道路に加速しないで進入してくる車のようなもので、本人は気づかなくても、入った途端にクラッシュ(注1)して入るのです。 グループに加わりたいときは、まず黙って話を聞くことです。(2うなずきながらエンジンを温め)、他の車と速度を同じくして会話に加わると、流れにうまく乗ることができます。 そのうえで、自分の話ばかりしないように注意すること。人は誰でも、自分の話をしたがっているのですから。会話は、ボールゲームのようなものです。サッカーでもバスケットボールでも、ひとりでボールを独占していたら、次からは遊んでもらえなくなります。 みんなで話しているとき、自分がどれだけ話をしたのか、常に意識していることも必要です。特に、大勢で話しているときは、発言しない人により多くの意識を配ってください。おとなしい人は無視されがちですが、同じ場にいることに敬意を払って、その人にも(注2)話を振らないと。 つくづく思いますけれど、会話ほど、個人のレベル差が大きいものはありません。充実した会話をしたいのであれば、それなりの準備や練習は必要なのです。私は練習することで得るものは大きいと思いますよ。その中に、人生を変える出会いや幸運が(注3)潜んでいるのではないでしょうか。 (斎藤孝「できる人」の極意!による) (注1)クラッシュする:衝突事故を起こす (注2)話を振る:話す機会を与える (注3)潜んでいる:隠れている 60.(1会話の技術は、運転技術とよく似ています)とあるが、この文章ではどんなところが似ていると述べているか。