外国語の話し手は、自分が伝えたいと思う内容とは異なることを伝えていることに気がつき、しばしば絶望感(注)を覚える。私自身にももちろんこの経験はあるが、1それを繰り返すたびに、相手に申し訳ないことをしたと考えると同時に、自分自身について強い不満を持つ。英語や日本語ではこの場面で冗談、あるいは皮肉を言うとか言わないとか、知識としては知っていても、実際にその場面で冗談を言ったり、あるいは、2おさえたりすることは難しい。この問題は、外国語を使う場合に、ある発音をしなければならない、あるいは、ある発音の間違いを避けなければならないことを知っていても、その発音が実際にはなかなかできないのと3まったく同じ性質の問題である。