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次の文章を読んで、文章全体の趣旨を踏まえて、 (19) から ( 2 3) の中に入る最もよいものを、A‐D から一つ選びなさい。 銀杏が衣を脱ぐ時 毎年、秋も深まって朝タの冷え込みが厳しさを増す今時分になると、北の郷里の著提寺の境内にある銀杏の巨木のことが気にかかる。 ( 19 )、その銀杏が老木だから、台風でもきたら大枝が折れやしないかと心配するのではない。今年の落葉はもう終わったか、どうか。まだなら、落葉するまでにあと何日ぐらい間があるだろうか。そう思って ( 2 0 ) 。 その銀杏は大木だから、葉を厚く繁らせていて、秋の黄葉はまことに見事である。それに、落葉の光景も思わず息を呑むほどのものであるらしい。私はまだ見たことがないから、予定が立つようなら、いちど出かけてみてもいいと思っている。けれども、銀杏としても落葉の予測などつくわけがないだろう。 一枚や二枚の落葉なら話は別だが、この銀杏の葉は、短時間で一枚残らず落ちてしまうのだから。霜が降りたのではないかと思われるほど冷え込みのきつい、かんと晴れ渡った( 2 1 ) .裏山から昇る朝日の光芒が、庫裏のを乗り越えて境内へ降りてくる。 まず、銀杏の一番てっぺんに朝日が当たる。( 22 ) 、曖められた葉が一枚、ひらと枝先を離れて、舞い落ちる。それを合図に、陽を浴びた葉が次から次へと落ちはじめる。ひっきりなしに落ちる。 銀杏は、しばしさわさわという落葉の音に包まれる。まるで分厚いこがね色の衣を足元へ脱ぎ落とすかのように、銀杏はみるみる裸になっていく。 銀杏に訊きたい。今年の落葉は( 2 3 ) 。