次の文章の( )に入る最も適当な言葉を、のA、B、C、Dから一つ選びなさい。(1× 10 = 10 点) 時間は川の流れの( 1 )一刻も休むことなく流れていく。この時間経過を基礎にして人間が考えだした三つの時間観念が、過去、現在、未来である。 だが( 2 )に銘じておかなければならないのは、われわれ所有できる時間は現在だけだということである。過去はどうしても取り戻せないし、未来には手が( 3 )。あるのは現在という、一瞬の時間だけである。 この時間感覚を実感としてつかむには、自分を固定しないことである。時間の川を船に乗って移動していると思わなければならない。( 4 )、列車に乗っている自分を想像してもよい。( 5 )こちらが動いていること、つまり現在進行形こそが、時間の中における人間のまごうことなき姿なのだ。 動いているからにはどこ( 6 )へ向かっている。その行き着く先が最終的には死であることは、自明である。だがそれをいっては( 7 )ので、われわれは旅路の途中を楽しみたいと思う。また同じ最終到着点であるなら、できれば居心地のよい場所に着きたいと願う。そうやって日々生きているわけだが、多くの人がおかしている誤りは、自分の現在を固定的にとらえるところにある。 それは、現在を ( 8 )最終到着点であるかのように考えることだ。たとえば、現在の自分が不幸だとする。そうすると「不幸駅」に到着してしまったと思ってしまうのだ。 だが、人間は死ぬまではどこにも到着していない。( 9 )が寄港である。寄港だから、そこから離れることはいつでもできる。 常に動く意識、つまり、変化を常態とする意識を持てば、( 10 )苦労も永遠ではないことがわかるはずだ。