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次の文章を読んで、の問いに答えなさい。 花見そのものが日本の誇る庶民文化であるが、花見はまた多くの日本文化を刺激し、作り出してきた。、芸能、美術そして衣装や料理などまで花見の恩恵をこうむっている。たとえば俳諧である。 1 「木の下に汁も 膾 ( なます ) も桜かな」 「奥の細道」の旅から戻った芭蕉が( 1690 )、伊賀上野の門弟・小川風麦での花見の宴席で詠んだ句である。満開の桜のした、出された汁椀にも膾の 器 ( うつわ ) にも花びらが散りかかり、桜一色。酒も 肴 ( さかな ) もたっぷり用意され、満ち足りた感じの芭蕉たちの宴席は桜の花に包まれている。視覚の美に味覚・触覚まで詠み込んだ見事な句だ。花見が好まれるのはただたんに花の観賞ではなく飲食の楽しみ、みんなと場を共にする楽しみが備わっているからである。この句は、2 なぜ日本人が花見を好むのか 、への答えにもなっている。 桜は好きだが、花見は騒がしくていやと言う人がいる。私は静かに桜を眺めるのも、にぎやかな花見もどちらも好きだ。だが、桜なら北半球の温帯地域各地に咲いているが花見は日本にしかない。千年以上にわたって行われてきた花見はぜひ世界に伝えたい日本文化である。私は例年、海外からの留学生や研究者を誘ってお花見に出かける。花見の宴から秀逸な作品を生み出した芭蕉のような芸術家や日本研究者が外国人の中から現われるのを楽しみにしている。 (白幡洋三郎『花見から生まれた美しき日本』「京都新聞」 2006 年 4 月 2 日による)