僕が相撲に興味を持ったのはいつごろのことであろうか。父が大の相撲好きとあって、物心が付いたときから力士の名前を口にし、テレビの前で応援していたものだ。僕は強い力士が好きだった。大鵬のファンであった。とにかく大鵬が強かった。大鵬の引退、最強と言われた 北の湖 が現れたが、僕の心の中では大鵬が強かった。強さと容姿を兼ね備えた千代の富士が出てきたとき、確かにかっこいいと思ったが、まだ僕の思う強さではなかった。そして僕と親子ほど年の違う貴乃花が出てくるまで、大鵬に勝る力士はもう現れないと思っていたのだった。今やその貴乃花も引退してしまい、さみしいかぎりだ。