モンデーニュは、こういうことを言っている。世間にはよく心では思っているのだけれど、どう言っていいか分からないという人がある。その人は、たいへんいいことを考えている人のように見えるが、言葉にならないということは、心のなかにはなんにもないということである。もし考えがあるならば、言葉が次々出てくるという。 たしかに、言葉に表してみて、はじめて自分の考えのつまらなさが分かることがある。何かすばらしい考えでもあるように思っているだけである。世の哲学者はみなこの意味のことを言っている。 考えるというのは、言葉や文字で考えるのである。言葉になったものが考えなのである。 問:この文章の内容に最も近いものは、どれか。