倉庫や地下室の中の空気は、温度がほとんど均等で、このような寒暑の粒の交錯がない。つまり、空気が死んでいる。これに反して、の空気は生きている。温度の不 均等から、複雑な熱の交換が行われている。われわれの皮膚の神経は、時間的にも空間的にも 複 雑な刺激を受ける。その刺激のために生ずる特殊な感覚がいわゆる涼しさであろう。 (略)これから考えられる一つの科学的な納涼法は、皮膚のうちの若干の選ばれた局部に、適当な高温度と低温度とを同時に与えれば、われわれはそれだけで、涼味の最大なるものを感じうるのではないか。