①日本人は昔、タタミの上に座って、低いおぜん(テーブル)で食べていたので、食器が口から遠かった。それで、おわんも口もとへ持ってきて、吸う習慣がついた。だから、スプーンからもすするようにしての飲み、音が立ってしまう。これは、どっちのほうが文化が高いとか、低いとかいうことではなく、その国ぐにの習慣やマナーが違うだけのことである。②私はマンガ家なので、人のちょっとした動作や、わずかなしぐさに好奇心を持つ。だから私が外国で失敗をすると、すぐ、その国の人びとが私に見せる反応を、人よりも敏感に感じてしまうようだ。③日本人がイスとテーブルの食事をするようになったのは1960年ごろからのことで、まだ、しつけがなく、ヒザを組んで食べる者もいる。外国人はイヤな顔をするだろう。④たとえば、私たち日本人がスープをズルズル音を立てて飲んでいるのを見て、や中国人がイヤな顔をしたのを何度も見たことがある。⑤知っていればすむことなのに、知らないために嫌われたり、憎まれてはかなわない。