次の文章の( )に入る最も適当な言葉を、のA、B、C、Dから一つ選びなさい。(1× 10 = 10 点) あるイギリスの文章学者が、文章に上達するには次のようにすればよいと薦めている。 ( 1 )自分が好んでおり、なるべくならば、そのような文章を書きたいと考えている作家の文章を選び出す。この文章は、人が上達するに従って変わってくるものだから、初めはそうやかましく( 2 )。とにかくいい文章だなと思ったものを拾い出す。そうして、( 3 )の梗概を作る。例えば、原稿用紙一枚ぐらいの文章であったならぶ、それを5、6行の梗概にしてしまうのである。こうして一週間ほどたって、今度はその梗概を基にして、前の文章を復活してみるのである。前の文章を思い出すという建前でなく、むしろ梗概に基づてい新しく文章を書いてみるというくらいの気組みで、文章を復活してみる。そうして、その結果できた文章を原文と比べ、その出来栄えを検討するのがよい、というのである。 この方法は文章の新しい方法( 4 )推奨に値すると思う。昔は文章の上達にはよく名文の暗誦が( 5 )。( 6 )今の学生は文の暗誦ということになれていない。この方法がよいのは恐らく中学校 3 年までであろう。中学校 3 年ぐらいまでだと、記憶力も非常にあるし、( 7 )己を捨てて文章を見覚えることもできるのであるが、高等学校以上になると、自分というものもできてくるし、文章のいい悪いについても自己流なりの批評眼が備わってくるので、( 8 )暗記ができない。また自分ができかけると、自然、暗誦というような機械的な、己をむなしくしたような作業はできにくくなるものなのである。 ( 9 )高等学校生などから上の人には、よい文の復活と言う方法がちょうどこの年頃の気持ちに合っているかもしれない。現代はいったいあまり棒暗記を喜ばない時代だから、特にこの方法は面白いと考えられる。 この場合、復活作業のときに、元の文章を一字一句同じにしようと心をくだかないほうがいい。覚えているところは( 10 )書くのがいいが、覚えていないところは自分で考えて、だいていこんなふうだったと考えるとおりに書いていく、そうしてで比べることが大切なのである。